造影剤のはなし

現在使用されている造影剤は、CT、血管造影、尿路造影に代表されるヨード製剤、MRI用の磁性体造影剤、バリウム製剤、その他に大別されます。

遅発性副作用(MRI・消化管用以外)

 造影剤の副作用、特に遅発性副作用は1986年頃より注目されてきた。しかし、遅発性副作用の定義は即時型副作用と比較して、時間の経過や造影剤以外の因子の関与するため、造影剤との因果関係が確定しにくい問題点、さらに調査方法や遅発性副作用の判定基準が異なるため統一した見解が得られていないのが現状である。
 厚生省は1994年4月から「新医薬品承認審査概要」の中で、特に副作用情報の公表制度を導入した。その後、発売された尿路・血管造影剤の添付文書に遅発性副作用の項目が記載され注意が喚起された。そして、
 1996年1月がら尿路・血管造影剤の全ての添付文書の「使用上の注意」(1)一般的注意 4)、5)項が追加あるいは改訂された。その内容は、
4)「重篤な遅発性副作用(ショックを含む)等があらわれることがあるので、投与中及び投与後も、患者の状態を十分に観察すること」。
5)「外来患者に使用する場合には、本剤投与開始より1時間〜数日後にも遅発性副作用の発現の可能性のあることを患者に説明した上で、発疹、発赤、奪麻疹、悪心、握屋吐、血圧低下、頭痛等の副作用と思われる症状が発現した場合は、速やかに主治医に連絡するよう指示するなど適切な対応をとること」。

 遅発性副作用の代表的な調査結果の要旨を下記に示します。
1)発現頻度はイオン性と非イオン性造影剤との比較では両剤共約5%で差がない。
2)非イオン性造影剤の頻度は0.41%〜22.3%、主な症状の皮疹の頻度は0.41%〜4.21%と報告者(調査方法)により差がある。
3)皮疹の発症時期は約50%が6時間以内、2日以内に約90%、7日後の報告もある。
4)症状持続時間は約80%が1日以内に消失。2日から7日間持続した皮疹もある。
5)性差は女性の方が男性より発現率が高いとの報告がある。
6)造影剤の投与量との関係では用量依存性有り・無しの両方の報告がある。
7)遅発性副作用の危険因子が何かを調べた桔果では、喘息、花粉症、薬剤のアレルギー歴と鼻炎の既往歴のある群が高いとの報告もあるが明確ではない。
8)即時型と遅発性副作用との間に因果関係は認められない。
9)遅発性副作用の発現率に精神的影響があるかを外来患者を対象に検討した結果、副作用に関する説明文を渡した群で、皮疹の発現率は有意に高く、構神的要因が関与しているこを示唆(「偽遅延性副作用」と命名)。中高年女性で主観性の強い人に多い。
10)遅発性副作用の発現機序は明確ではないが、@心理的要因、AIV型アレルギー(遅延型過敏症)等が関与していると考えられている。
11)造影剤静脈内投与群の副作用と単純撮影群(主に胸部X腺撮影)の愁訴の発現頻度を検査直後〜7日までの調査。愁訴の総発現率は造影剤投与群:39.1%(106/271)、単純撮影群:21.1%(48/228)。単純振影群でも局所痛、発疹、頭痛、呼吸困難等の愁訴が報告された(偽陽性)。愁訴別では造影剤群が局所痛と利尿亢進が有意に高かったが、その他は有意差は課めなかった。造影剤の副作用のうち少なくとも54%(21.1%/39.1%)は造影剤以外の原因に因るものとしている。従って、遅発性副作用は心理的要因(患者の疾患)等造影剤以外の原因に基づく事を示唆している(Beyer‐Enke S.A.)。