CTはコンピュータ断層法(Computed Tomography)の略です。文字どおりコンピュータを使って身体の輪切り(断面:断層面)をみる装置で、当院の装置は検出器が2列あるマルチスライスCTです。

 
       
  スライス厚7〜10mmの画像 スライス厚1〜2mmの画像  CTで特に有用性が確立しているものは、胸部疾患の診断です。胸部CTは胸部単純撮影で異常所見が発見されたり、臨床的に異常を疑った例に対して、その次に施行すべき検査となっています。現在、CTは肺縦隔疾患の診断には必要不可欠なものです。通常の胸部のCTスキャンはスライス厚7〜10mm程度のX線を利用します。肺野結節病変やびまん性肺疾患などでは、病変の形態を詳細に描出するために薄いスライス厚を利用することもあります。薄いスライス厚で撮影した画像の元データから、小さな表示視野で空間分解能を強調した画像再構成関数を用いて画像を構成したものを、高分解能CTと呼びます。これは病変のsubmacroscopicな病理像をよく反映し、びまん性肺疾患や肺結節陰影の診断に必要不可欠です。
薄いスライス厚のデータであれば、より精度の高い3次元表示が可能でマルチスライスCTを利用すればより擬似画像の少ない3次元画像が作成できます。
 
       
  造影剤を使用

 各部位で造影剤という薬を静脈注射して撮影する場合がありますが、胸部領域での造影剤の使用目的は、1)腫瘤性病変が嚢胞性か充実性かの判定、腫瘍病変の血流の評価、壊死の程度の診断、2)腫瘍性病変と血管の位置関係の評価、血管浸潤の有無の診断、3)大動脈瘤などの血管病変の診断、4)軟部組織陰影と血管陰影の分離などがあります。

 
       
  縦隔や胸壁の軟部組織 肺野を中心に表示

 CT画像は多くの画像情報をもっていますが、情報をすべて1つの表示条件で示すことは不可能です。このため、胸部CTの画像を表示するためには通常2つの条件でフィルムに表示することが多いです。
1つは、縦隔や胸壁の軟部組織を中心に表示する縦隔条件(window level20~60,window width 300~400)で、肺野は真黒に表示され、肺野の病変を詳細に見ることはできません。
もう1つは、肺野を中心に表示する肺野条件(window level -550~-700,window width1000~1500)であり、肺野の病変や肺血管がよく表示されるが、縦隔の軟部組織はすべて真っ白に表示され、縦隔軟部組織の病変を表示することはできません。
 この他にも気管支や骨が見たいなど、観察したいものによりwindow levelとwindow widthを変えて表示する場合もあります。

window level (WL) / window width (WW)
一横断面の各画素はCT値が計算され、ある一定の範囲のみを16〜32階調の白黒画像として表示し、その範囲より上または下の値は白または黒の濃度として表示されます。この表示をするCT値の範囲をwindow widthとよびその値の中央値をwindow levelと呼びます。

参考文献
 酒井文和編著:新版 すぐに身につく胸部CT:秀潤社

 
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