文字サイズ

診療科・部門案内

心臓血管外科

ご挨拶(概要)

2018年に新たに心臓血管外科を開設し、2019年11月より開心術を行っております。冠動脈バイパス術、僧帽弁、大動脈弁といった弁膜症に対する治療、胸部大動脈瘤・腹部大動脈瘤に対するグラフト置換術などを行っています。また末梢血管に対する外科治療やステント治療、静脈瘤に対する外科治療、血管内治療も行っています。今後不整脈に対する治療や成人先天性心疾患に対する治療なども行っていきたいと考えています。
われわれは新しいチームでありますが、それぞれの持ち味を生かし患者さんを中心とした医療を行っていきたいと考えています。これまでこの地域には心臓血管外科(循環器外科)を行っている医療機関が乏しく、循環器内科からの紹介が遠方の病院となり患者さんご本人のみならずご家族の方々にも大変なご負担となっていた事と思います。当院では循環器内科と非常に緊密な連携を取っておりこの地域における循環器疾患の治療に貢献していきたいと考えています。
心臓血管外科の黎明からすでに50年以上経過し様々な治療法が選択可能となっています。侵襲度と安全性も異なり、その治療成績も大きく改善されてきています。どの様な治療法が個々の患者さんに最適であるか、そしていかにリスクを軽減することができるか親身になって治療に当たらせていただきたいと思います。そして我々の施設で治療を受けるよりも良い結果が期待できると判断できる場合にはご希望の医療機関にご紹介させていただきます。循環器疾患に関するご相談はいつでもお受けしますので是非ご利用ください。

心臓弁膜症

心臓弁膜症とは?

心臓は、健康的な生活のための最も大切な臓器です。心臓内には4つの弁があり、心臓弁膜症はどこの弁にどのような障害が起きているかによって、複数のタイプに分類されます。また、心臓弁膜症は心不全を引き起こす危険因子のひとつです。心臓弁膜症を早期に発見し、適切なタイミングで治療することが重要です。
心臓は、拡張と収縮を繰り返すことで、身体中に血液を循環させる、ポンプのような役割をしています。全身に酸素を届けたあとの血液(静脈血)は右心房から右心室へ戻り、肺動脈から肺に送られます。肺で酸素を受け取った血液(動脈血)は左心房から左心室へ送られ、大動脈を通って全身をめぐり、酸素を届けます。この一連の動きは休むことなく、1日におよそ10万回も繰り返されています。
血液の流れを一方向に維持し、逆流を防止するために右心室と左心室の入り口と出口にはそれぞれ“弁”があります。右心室の入り口(右心房と右心室の間)の弁が「三尖弁」、右心室の出口(肺動脈の間)の弁が「肺動脈弁」です。また、左心室の入り口(左心房と左心室の間)にあるのが「僧帽弁」、左心室の出口(左心室と全身をめぐる大動脈の間)にあるのが「大動脈弁」です。

心臓にある弁に障害が起き、本来の役割を果たせなくなった状態を「心臓弁膜症」といいます。
心臓弁膜症には大まかに2つのタイプがあります。「狭窄」は弁の開きが悪くなって血液の流れが妨げられる状態です。「閉鎖不全」は弁の閉じ方が不完全なために、血流が逆流してしまう状態です。心臓弁膜症はどの弁でも起こりますが、とくに「大動脈弁」と「僧帽弁」に多く起こる疾患です。

正常な弁の動き
症状のある弁の動き

心臓弁膜症と心不全の関係

心不全とは、心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気です*。心不全はひとつの病気ではなく、心臓弁膜症や心筋梗塞などさまざまな心臓疾患が最終的に至る病気です。心臓弁膜症は自覚症状がないまま進行する場合もありますが、放っておくと心不全につながる可能性があります。心臓弁膜症を早期に発見し、適切なタイミングで治療することが重要です。
*日本循環器学会他. 急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)
http://j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2017_tsutsui_h.pdf (2019年3月5日閲覧)

代表的な心臓弁膜症の種類

大動脈弁狭窄症(だいどうみゃくべんきょうさくしょう)
大動脈弁が開かなくてはならないときに完全には開かず、左心室から大動脈へと送られる血流が妨げられるため左心室に負担がかかります。また、送り出される血液量も少なくなるので、心筋も酸素不足に陥ります。特徴的な症状は、胸痛、失神、呼吸困難です。
大動脈弁閉鎖不全症(だいどうみゃくべんへいさふぜんしょう)
大動脈弁が閉じるべきときに閉じず、大動脈へ送り出された血液が左心室へ逆流します。逆流した分、多くの血液を送り出そうとするため左心室に負担がかかり、心臓が拡大します。特徴的な症状は、胸痛、呼吸困難です。
僧帽弁狭窄症(そうぼうべんきょうさくしょう)
僧帽弁の開きが不十分なため、左心房から左心室への血流が妨げられます。その結果、左心房に血液がたまり、血栓ができやすくなります。特徴的な症状は、息切れ、咳(特に夜寝床に入ると咳がひどくなる)、動悸、体重の減少です。
僧帽弁閉鎖不全症(そうぼうべんへいさふぜんしょう)
僧帽弁が完全に閉じないため、左心室から大動脈だけに送られるはずの血液が左心房へ逆流します。その結果、大動脈へ多くの血液を送り出そうとして左心室に負担がかかり、心臓が拡大します。特徴的な症状は、息切れ、咳、動悸です。
三尖弁閉鎖不全症(さんせんべんへいさふぜんしょう)
三尖弁が閉じにくくなり、右心房から右心室に送られた血液の一部が右心房へ逆流します。その結果、右心房の拡大、右心房の内部の血圧が上昇します。ほとんどの場合、症状はありません。重症な場合は、下肢のむくみ、頸静脈の張り、腹部不快感や全身倦怠感、心房細動などが起こります。
三尖弁狭窄症(さんせんべんきょうさくしょう)
三尖弁が厚く硬くなり狭くなることによって、右心房から右心室への血流が妨げられます。三尖弁狭窄症は、ほとんどの症例でリウマチ熱が原因ですが、リウマチ性心疾患が激減した現在では稀な病気です。特徴的な症状は、首の不快感、動悸、静脈内の血圧上昇による肝臓の腫れ(腹部不快感)です。

心臓弁膜症の治療方法について

心臓弁膜症に対する治療法として、3つの治療法が選択肢となります。

狭心症・心筋梗塞・大動脈疾患

狭心症・心筋梗塞

狭心症とは?

狭心症は、冠動脈の血流が悪化し、心臓が一時的に酸素欠乏状態となって起こります。胸のあたりに圧迫されるような痛みや苦しさを感じたり、人によって、あごやみぞおち、耳のあたりに痛みを感じることもあります。
症状は、数分から十数分程度続きます。安静にしていると治ることもありますが、くり返す場合には、ニトログリセリンなどの常備薬で発作を抑えるようにします。
狭心症には2つのタイプがあります。
安定型と呼ばれる主に労作時に起こるものと労作とは関係なく起こる不安定型とがありますが、不安定型が心筋梗塞に至る確率が高いと考えられています。

心筋梗塞とは?

心筋梗塞は、冠動脈の血流がほとんど止まってしまい、酸欠から心筋の一部が壊死(死滅)するほど悪化した状態をいいます。左胸のあたりを中心に、非常に強い圧迫感や激しい痛みが起こり、人によっては肩や背中、首などに痛みを感じることもあります。冷や汗や吐き気をともなうことも少なくありません。
症状は30分以上、ときには数時間に及びます。手当てが早いほど治癒する確率も高いので、我慢せずにすぐに病院に行きましょう。
現在は治療技術が進み、発症後6時間以内にカテーテルによる治療を受けることができれば、死亡率は10%未満に抑えることができます(※)。
ただし発症後、意識がなく、心肺機能が停止した場合には、すぐにその場で人工呼吸や心臓マッサージなどによる心肺蘇生を行う必要があります。
睡眠中など深夜に心臓発作が起こった場合、我慢強い人は朝まで様子をみようとして、かえって手遅れになることがあります。また糖尿病の人や高齢者の場合には、痛みの感覚がにぶくなっていて、痛みをほとんど感じずに心筋梗塞を起こしていることがあります。心臓発作が起こったら、我慢せずに早めに病院へ行くこと。そして冷や汗や吐き気など、ほかの症状にも注意するようにしましょう。
※カテーテルによる治療とは、狭まった血管を広げるバルーン(風船)や、血管壁を補強するステント(金属製ネット)をカテーテルによって患部まで送り込むもので、心筋梗塞の治療法の主流となっています。カテーテル治療がむずかしい場合は、バイパス手術などの外科的治療も行われます。

大動脈疾患

心臓から全身に血液を送り出す血管(動脈)で、体の中で最も太い血管です。横隔膜を境に胸部大動脈と腹部大動脈に分かれます。太さは、胸部大動脈で直径約25~30mm、腹部大動脈で20~25mmです。胸部大動脈はさらに上行、弓部、下行大動脈に分かれます。上行大動脈は心臓から頭の方向に向かって走行する部分、弓部大動脈は頭や両腕に血液を送り出す3本の枝を出す部分、下行大動脈は背中側を胸から横隔膜に向かって走行する部分を言います。

大動脈疾患の原因
動脈硬化(血管が硬くなる)、感染、炎症、先天性(生まれつき血管が弱い、マルファン症候群など)、外傷などが大動脈疾患の原因となります。
マルファン(Marfan)症候群について
大動脈や心臓弁の異常、骨格異常(長身、長く細い四肢、手指、漏斗胸、脊椎側彎など)、眼異常(水晶体脱臼など)を呈する先天性の病気です。その大多数は遺伝性であり、約2万人に1~2人の発生といわれます。この病気の予後を決するのは、心臓血管系の異常であり、なかでも大動脈瘤、大動脈解離は突然死をおこす原因の筆頭に挙げられます。

大動脈疾患の種類と症状

大動脈瘤(だいどうみゃくりゅう)

大動脈が大きくなり瘤(こぶ)となった状態を大動脈瘤といいます。大動脈瘤の原因には動脈硬化、感染など様々な要因が関係しています。大動脈瘤はほとんど無症状で、検査(CT)で偶然見つかることが多い疾患です。胸部大動脈瘤では、声がかすれるといった症状が出現することがあります。これは大動脈瘤が声に関与する神経を圧迫するためです。

また、腹部大動脈瘤では、お腹に拍動する腫瘤(しゅりゅう)を触れることがあります。直径が大きくなればなるほど破裂の危険性が高まります。破裂の前兆として、大動脈瘤の存在する部分(背中、腰など)で痛みが出現することがあります。
血管壁にかかる壁張力(壁にかかる緊張の強さ)は血管の直径の大きさと血圧に伴って強くなることがわかっていますので、大動脈瘤の直径が拡大すると破裂する危険性も高くなります。
胸部大動脈では直径6cm、腹部大動脈では直径5cmを超えると手術適応です。通常、直径が5cmを超える動脈瘤は、その年に10%以上の確率で破裂すると考えられています。急激に動脈瘤の直径が大きくなる場合、動脈瘤の形や発生した場所、そして大切な臓器の血流が問題となるなどの全身状態によっては、動脈瘤の直径が小さくても手術が必要となる場合があります。

大動脈解離(だいどうみゃくかいり)

大動脈の血管壁は、内膜、中膜、外膜の3層構造となっています。大動脈解離ではこの血管壁に亀裂が生じ、内膜から中膜の一部までが剥がれた(解離した)状態を言います。亀裂部から血液が血管壁に流れ込み、大動脈解離が広がっていきます。本来の血管腔を真腔、大動脈解離によってできた腔を偽腔と呼びます。大動脈解離が起こると偽腔が拡大し、胸部、腹部大動脈から枝分かれする動脈を圧迫し、大切な臓器への血流の障害(虚血)を引き起こすことがあります。慢性に経過すると解離によって弱くなった大動脈血管壁の部分が拡大し大動脈瘤を生じることがあります。発症は突然で、通常、胸や背中の激痛を伴います。また解離の進展に伴って痛みが胸から背中などへ移動することがあります。発症時にショック状態、脳梗塞や心筋梗塞、腹部の内臓や手足の血流が途絶えることがあります。突然死の原因となる怖い疾患です。
一般的には、上行大動脈に解離がある場合(A型解離)は重症となり、緊急手術または準緊急手術の対象となります。
解離によって弱くなった大動脈を解離の始まりの部分から切除し、人工血管と交換します(置換)。下行大動脈、腹部大動脈にのみに解離がある場合は(B型解離)、まず解離を起こした直後は厳重な血圧管理を行いながら病状経過を観察し、慢性期に適応がある場合に手術を行うことがあります。ただし大動脈解離による臓器血流障害がある場合には緊急手術により血流改善を目的とした手術を行います。

大動脈狭窄(閉塞)(だいどうみゃくきょうさく(へいそく))

大動脈が途中で細くなったり、詰まったりする状態です。比較的稀な状態ですが、大動脈炎症候群(高安病)やベーチェット病などの血管に炎症を起こす病気あるいは動脈硬化に伴う疾患を合併する患者様に起きることがあります。細くなった先への血流が少なくなるため、運動時の痛み(足の歩行時痛など)の原因となることがあります。CT撮影や血管造影検査などから大動脈、四肢末梢の動脈の状態を十分に調べて、炎症の状態(活動度)、動脈硬化の状態に応じて手術時期、手術方法を含めた治療方法の検討を行っています。

検査
大動脈疾患を診断する上でもっとも簡単で重要な検査が、CT(Computed Tomography) と言われる検査です。これはX線を用いる検査で、体を輪切りにして内部の構造を観察することが出来る検査です。最近では立体の画像を作成することも可能で、より実際に近い評価が出来ます。血流の流れを観察する上では、造影剤を用いる必要があります。

治療法
(1)血圧の調節降圧薬(血圧を下げる薬)により血圧を調節し、血管にかかる負担を低減します。しかし、根本的な治療にはなりません。
(2)手術

a,人工血管置換術大動脈瘤や狭窄した部分を取り除き、人工血管に換える方法です。手術は大きいですが、確実に治療可能な方法です。 b,ステントグラフト血管内に折りたたんだ人工血管を挿入し、大動脈瘤の存在する部分で内側から拡げる方法。体への影響が少なく、高齢の患者さんや、大きな手術が耐えられない患者さんに良い方法です。しかし、現時点では長期成績が明らかでありませんし、すべての患者さんに適応できるわけではありません。

不整脈の外科治療不整脈とは・他

不整脈の外科治療不整脈とは?

不整脈とは、心臓の鼓動のリズムが乱れる状態のことです。この中には不規則な脈のほかに脈が速くなる頻脈(ひんみゃく)と、脈が少なくなったり途切れたりする徐脈(じょみゃく)も含まれます。
心臓は左右上下4つの部屋に分かれていて、上の方の2つの部屋を「心房(しんぼう)」といい、下の方の2つの部屋を心室といいます。心臓はこれら4つの部屋がタイミングよく収縮、拡張を繰り返すことで、血液を効率よく全身に循環させるポンプとして働いています。洞調律(どうちょうりつ)と呼ばれる正常な脈は心臓の上の方にある洞結節(どうけっせつ)というところで自然に電気がおこり、心房と呼ばれる心臓の上の部屋に電気が広がります。その後、心室と呼ばれる下の部屋に電気が流れますが、これには房室結節と呼ばれる心房と心室をつなぐ組織を通ります。中継所である房室結節を通って、心室全体に電気が流れることにより心室の筋肉が一度に収縮し、全身に血液が送られます。この一連の電気刺激伝導の不具合を総称して不整脈といいます。
この項では心臓弁膜症等に度々合併し、外科治療の対象となる心房細動について説明します。

心房細動について

心房細動とは
不整脈には沢山の種類があり、心房細動はそのひとつです。心房細動とは、心房内に不規則な興奮が1分間に400回以上も生じるために、まるで心房が「震えている」ようになり、心室の興奮(つまり脈拍)も全く不規則になってしまう不整脈です。
心房細動発症のきっかけ
心房細動はストレス・飲酒・喫煙・過労・睡眠不足・脱水・加齢などが誘因となり発症すると言われています。さらに、心臓弁膜症・心筋症・虚血性心疾患などの基礎疾患がある場合、心臓に負担がかかり心房細動を併発する可能性が高くなります。また、甲状腺機能亢進症などの心疾患以外の病気に併発することもあります。
心房細動発症のメカニズム
心房筋の変性により興奮伝導のばらつきが生じ、これが伝搬方向の異なる複数の興奮波を形成し、電気的な興奮がある程度の大きさでぐるぐる回って回路を形成(マクロリエントリー)し、心房を連続的に興奮させ、心房細動を発生させると考えられています。心房内のさまざまな場所が興奮の引き金(トリガー)になり得ますが、基礎疾患のない患者の90%以上は肺静脈の期外収縮がトリガーになるといわれています。
心房細動の症状および問題点
この不整脈はすぐに死亡に直結するような危険な不整脈ではありませんが、(a)脈の規則性がなくなることで、「胸がどきどきする」「胸の不快感」「胸の痛み」などの症状が出たり、(b)心房の収縮が無くなることで、心臓のポンプ機能が低下し、体を動かした時に息切れなどの心不全症状が出ることがあります。また、(c)心房の中の血液の流れに“淀み”が生じ、血栓と呼ばれる血液の塊ができやすくなり脳梗塞を生じる危険性が高まる、などの問題が起こります。
心房細動の治療
心房細動の治療は大きく薬物治療と非薬物治療に分けられます。

<薬物治療>
抗不整脈薬による治療として、頻脈に対して、心拍数、つまり脈の数を減らす①「心拍数(レート)コントロール治療」と、脈の乱れを正常(洞調律)に戻して維持する②「リズムコントロール治療」が挙げられます。また、脳梗塞の原因となる心房内血栓の形成を予防するための③「抗凝固療法」も重要です。リズムコントロール治療の際、薬物療法の補助として電気的除細動(電気ショックをかけてリズムを正常に戻す治療法)が併用されることがあります。

<非薬物治療>
薬物治療による不整脈のコントロールが難しく、自覚症状が持続する場合は非薬物治療が選択されます。心房細動に対する非薬物療法には(Ⅰ)カテーテル治療、(Ⅱ)外科的治療があります。ともに薬剤抵抗性の頻脈性不整脈の根治が可能で、 (a)規則正しい脈拍を回復し、(b)心房収縮を回復し、(c)脳梗塞発症のリスクを無くすことができます。(Ⅰ)カテーテル治療とは、血管にカテーテルと呼ばれる細い管を入れ、血管を通して心臓まで到達し、心臓の内壁を焼灼(アブレーション)して不整脈の原因となっている発生起源や電気回路を遮断することでリズムを元に戻す治療法です。(Ⅱ)MAZE(メイズ)手術に代表される心房細動手術は、全身麻酔下に開胸し、心臓の内壁・外壁に伝導ブロックを作ることで、心房内で考えられ得る全てのリエントリー回路を断ち切り、リズムを元に戻す治療法です。近年、切開・縫合や冷凍凝固に加えて、心房壁を電気的に隔絶する様々なデバイスが開発され、心房細動手術は短時間で確実に行えるようになりました。現在行われているMAZE手術では心房細動を非常に高い確率(8〜9割)で洞調律に戻すことが可能です。弁膜症を合併している場合や血栓症の既往がある場合に主に適応となります。

健康成人で不整脈が全くない人はいないといってもよい程、不整脈は一般的なものです。不整脈がありながら自分では全く気づかず、身体検査ではじめて不整脈を指摘される人もいます。治療しなくてもよいものもたくさんありますが、不整脈によっては心不全や失神発作を起こしたり、脳梗塞を併発するものもあり、早期の治療が必要なものがあります。不整脈を指摘されたとき、あるいは脈の不整や激しい動悸を感じたときは専門医を受診し、適切な指導をうけることが大切です。

成人先天性心疾患外来について

医療の進歩により、出生した95%以上の先天性心疾患患者さんが成人期に達する時代となり、2007年には成人期に達した先天性心疾患(成人先天性心疾患)患者さんが40万人を超え、成人先天性心疾患が先天性心疾患の半数以上を占めるまでに増加しています。
今まで先天性心疾患診療は小児循環器内科に任せきりでしたが、加齢にともなう悪性新生物や動脈硬化性疾患である心筋梗塞・脳梗塞・腎不全などの予防や管理が必要となり、小児循環器のみでは対応が困難となってきました。
また、成人先天性心疾患は特有の合併症(再手術や追加手術)への知識や情報も必要で先天性心疾患に対する知識や経験が必要とされる特殊な分野です。近年本邦でも少しづつこのような症例を扱う施設が増えてきています。

末梢血管疾患

閉塞性動脈硬化症
太腿や骨盤のあたりの動脈が慢性閉塞を起こし、脚の血液が足りなくなった状態です。はじめはなんとなく足が冷たくなった、歩くとだるいなどの症状ですが、次第に進行すると歩行時に痛みが出てきます。病期が進行するとバイパス術が必要になりますが、最近では体の負担の少ないカテーテルによる血管内治療も行われています。

骨盤内の動脈の完全閉塞(黄色矢印)と大腿部の動脈閉塞(ピンク矢印)を来たし歩行障害のある症例ですが、右骨盤内の動脈閉塞はカテーテルによる血管内治療(黒矢印)を、左大腿部の広範な動脈閉塞に対してはバイパス術(赤矢印)を施行されています。

下肢静脈瘤
脚の表面にある血管が太くはれて、蛇行しているのが下肢静脈瘤です。静脈瘤は重い病気ではなく、治療も大変ではありません。しかし、治療をしなければ自然に治ることはありませんし、やがて潰瘍を作ってくることがあります。程度が軽い場合は外来での治療や、日帰り手術が可能な場合があります。入院治療ではストリッピング手術やレーザー治療を行います。最近では高齢でも治療を希望される方が増えています。

(写真左)高度の下肢静脈瘤の患者さんで、ふくらはぎに静脈瘤(こぶ)が多数見られます(白矢印)。下腿は血液の鬱滞による皮膚炎や湿疹(黒矢印)を合併しています。
(写真右)静脈瘤の手術後、3週間目の状態です。静脈瘤は消失しています(白矢印)。難治性でした鬱血性皮膚炎も著明に改善しました(黒矢印)。通常は術翌日に退院です。最近はレーザー治療の導入も開始し、より低侵襲化が可能となりました。

担当医のご紹介

  • 部長
  • 竹内 功 (タケウチ コウ)
役職 部長
専門分野 心臓血管外科(成人、小児)
資格・専門医 日本外科学会専門医、認定医、指導医
日本胸部外科学会認定医、指導医
日本心臓血管外科専門医・修練指導医
日本小児循環器学会評議員
臨床研修指導医
Infection Control Doctor(ICD)
米国医師免許
所属学会 日本外科学会
日本胸部外科学会
日本心臓外血管外科学会
日本血管外科学会
日本循環器学会
日本小児循環器学会
日本感染症学会
米国胸部外科学会(STS)
アジア心臓血管外科学会(ASCVTS) 
欧州心臓胸部外科学会(EACTS)