放射線画像診断科・放射線治療科のご紹介
2018年5月、新病院となり、放射線科では最新の医療機器を導入し、「年中無休・24時間オープン」の理念の下、いつでも検査できる体制をとり、休日夜間問わず、救急医療に対応しています。
CT装置は、従来装置と最新装置の2台体制、MRI装置、骨密度装置も最新式の装置を新たに導入しました。
新たに放射線治療と核医学検査(PETCT,SPECTCT)を開始しました。
がん患者の増加、がん治療の適応の増加、患者の高齢化に対し、検査から治療まで全てを担える体制を整えました。
必要とされる画像を提供できるよう、技師一人ひとりが日々、学会発表や勉強会参加など、新しい技術の会得に努力しています。
放射線画像診断科・放射線治療科の理念
私たちは、「生命だけは平等だ」を基本理念として、実現するため努力します。
「基本方針」
- 検査・撮影は患者様の安全と安心を第一として、医療サービスの提供を目指します。
- どのような検査・画像も年中無休24時間行えるように努力します。
- 検査・撮影は、十分な説明を心がけ、納得して頂けるように努力します。
- 地域の医療・福祉施設からの検査・撮影を積極的に行い、地域に貢献するように努力します。
- 患者様からの贈り物は一切受けとりません。
- 医療技術、診療態度の向上に絶えず努力し、また部署内でも情報交換を行い、最良の検査・画像を提供できるように努力します。
放射線画像診断科検査について
1.一般撮影・歯科撮影検査
一般撮影検査(単純X線検査)は胸部や腹部、全身の骨等の撮影を行っています。撮影室は3部屋あり、1部屋はCT装置と同室にあります。救急など移動が困難な方もスムーズに検査が可能です。
歯科領域検査も行っています。他施設からの検査依頼も積極的に受けています。どうぞご利用下さい。
2.全身骨密度測定検査(DEXA装置)
骨粗しょう症を診断するための検査が骨密度の測定です。当院の骨密度測定装置は「X線」を使用するDEXA法という装置です。腰椎と股関節で測定しています。他の方法に比べ測定精度が高く、再現性にも優れているため、経過観察・治療効果の判定にも役立ちます。検査結果は紙面にてお渡しできます。
3.マンモグラフィー、ABUS検査
マンモグラフィーは乳房専用の撮影装置です。当院では女性技師が担当しています。
医師、技師、施設ともにそれぞれ「マンモグラフィー精度管理中央委員会」より認定を取得しており、高水準の診療が可能です。安心して受診してください。
乳がん検診をはじめとする乳腺診療の入口ともいえるマンモグラフィ検査が敬遠される理由のひとつに“痛み”があります。
乳房を圧迫する際の痛みはよく聞かれますが、それ以外にも、検査時に機器に押し付けられることになる腋下や腹部に痛みを感じる人もいます。
Senographe Pristina は、このような痛みや不快感を少しでも軽減できるよう、日本を含む世界中の先生方の意見を反映させ、“検査に関わるすべての人に寄り添えるマンモグラフィでありたい”という開発コンセプトのもと開発されています。また、乳腺の重なりの少ない断層画像を得られる 3D(デジタル・ブレスト・トモシンセシス)機能も搭載しています。新しい技術トモシンセシス(3D)により、奥行きデータを収集し乳房の断面画像を作ることで観察時に乳腺の重なりを無くし、より詳細で精度の高い情報を得ることができます。
前回の装置と比較し
・トモシンセシス(3D)が搭載されました。
・患者さんの不安や負担を和らげる機能を備えたデザインです。
・スピーディーな画像表示により短時間で検査が終わります。
・質の高い画質で小病変の描出に威力を発揮します。
当院の特徴
当院では埼玉県初めて乳房専用の超音波装置(Invenia ABUS(GE社製))を導入し、同室内で同じ女性技師によって検査を行っております。Invenia ABUSは、自動で乳房全体をフルボリュームスキャンを行うことにより、検査者のスキルに左右されることなく見逃しを防ぐことができます。
また、乳癌の疑いのある人は、ステレオガイドマンモトーム生検(画像ガイド下吸引式組織生検システム)を用い正確な癌の診断が可能です。
4.CT検査
当院では2管球型128スライスCT(シーメンス社製)と64スライスCT(シーメンス社製)の2台が稼働します。2管球型では従来よりも非常に短時間で、負担の少ない検査が可能です。心臓の検査に特に有用なCTとなっています。
検査についての詳細、注意事項はこちらをご覧ください。
5.MRI検査
MRIとは、磁気共鳴画像(Magnetic Resonance Imaging)の略です。エックス線は使用せず、強い磁石と電磁波を使って検査をします。特に脳や脊椎、子宮・卵巣・前立腺といった骨盤内臓器の病変に関して優れた検出能力を持っています。
新病院では最新の装置に更新しました。
検査についての詳細、注意事項はこちらをご覧ください。
6.血管造影検査
当院ではFPD(フラットパネルディテクター)を搭載した撮影装置が導入されており、低被ばくで高画質な画像診断を行っています。
心臓カテーテル検査では、心臓領域の血管造影を行い診断しています。脳血管造影検査では頭頸部領域の診断とともに、動脈瘤・動静脈奇形に対するコイル塞栓術や頸動脈狭窄症に対するステント留置術などのカテーテル治療も行います。
下肢動脈造影検査では下肢閉塞性動脈硬化症(動脈硬化が原因となって下肢の動脈が狭窄(細くなる)あるいは閉塞する(つまる)病気)に対し、ステント治療を行っております。
当院では2023年5月より、カテ室を1部屋増やして、Philips社製バイプレーン型血管造影X線診断装置Azurion 7 B20/15を導入しています。X線管と検出器が搭載されたCアームが2つになったことにより一度に2方向からの撮影が可能となりました。そのため、従来のCアームが1つのシングルプレーン型装置と比較して造影剤の使用量を少なく抑えることができ、検査時間も大幅に短縮出来る特徴を持っています。
主に脳血管造影検査での頭頚部領域の診断、脳動脈瘤・動静脈奇形に対するコイル塞栓術、頸動脈狭窄症に対するステント留置術、脳梗塞に対する血管内血栓回収術等の手術に使用しております。
7.消化管造影検査
主に上部消化管検査(胃のバリウム検査)を行っております。当院では日本消化器がん検診学会 胃がん検診専門技師など、認定を取得した技師が多くおります。安心して受診してください。
またERCP(逆行性胆管膵管造影)検査も多く行っており、広い検査室を有効に使用しています。
8.オペ室業務
ハイブリッド手術室 GE社 Discovery IGS740導入
ハイブリッド手術室とは血管内治療と外科手術を掛け合わせたものです。ハイブリッド手術室とは、そのための高性能な透視装置と手術寝台を設置し、最近急速に増加している各分野の血管内治療に対応するための手術室です。
ハイブリッド治療では限られたスペースに多くの周辺機器が必要とされるため、天吊り式の柔軟な動きと床置き式のような安定した画質を提供できるX線撮影装置が求められるようになりました。これらの課題の中、自走式アンギオ装置は、柔軟なスペースの確保や、天吊りレールがないことによる清潔な空調環境を保つことを可能とし、術者に妨げなく手技に集中できる環境を提供します。
9.核医学検査
核医学検査はアイソトープ検査またはRI(アールアイ)検査とも呼ばれ、特定の臓器や組織に集まりやすい性質を持った放射性の医薬品を患者さんに投与します。投与された放射性医薬品が、目的の臓器や組織に集まったところで、そこから放出される放射線(ガンマ線)を専用のガンマカメラあるいはPETカメラを用いて体外から検出し、その分布を画像化します。
放射性医薬品の分布を画像にすることをシンチグラフィといい、得られた画像をシンチグラムといいます。CTと同様の原理で断層像にしてみることもできます。
CT検査やMRI検査は、主に臓器の形態の異常を調べるのに対し、核医学検査は、投与された放射性医薬品の分布や集積量、経時的変化の情報から、臓器や組織の形態だけでなく、機能や代謝状態などを評価することができます。
核医学検査では、投与する放射性医薬品の種類により、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)検査PET(Positron Emission Tomography)検査に分かれます。
SPECT検査では1方向の放射線を放出する放射性同位元素(single photon emitter)を利用した医薬品を用いるのに対し、PET検査では2方向の放射線を同時に正反対の方向に放出する放射性同位元素(positron emitter)を利用した医薬品を用います。
放射線治療科について
当院では高精度放射線治療装置「トモセラピー」(Tomo-HD)を導入し、2018年9月より放射線治療を開始しました。トモセラピー装置とは、米国で開発されたX線によるCT撮影装置と放射線照射装置を一体にした治療機器です。2002年より治療が開始されて以降、世界に拡がっています。トモセラピーでは「強度変調放射線治療(IMRT)」という技術を使うことによって、がんの形に合わせて照射することができます。この照射方法によって標的とする病変に集中してたくさんの放射線を照射することができ、副作用を軽減しつつ治療効果を上げることが可能となります。
実際の治療の前には毎回CTを撮影し、治療を計画した時の画像と比較して位置の誤差を補正しますので、計画した場所に正確に照射する「画像誘導放射線治療(IGRT)」が可能です。
当院では常勤医師、診療放射線技師、放射線治療品質管理士、医学物理士に加え、群馬大学腫瘍放射線学教室からの非常勤医師、非常勤医学物理士で診療にあたっています。放射線治療は全身の悪性腫瘍が治療対象となります。またバセドウ眼症などの良性疾患も治療の適応となります。当院でできない特殊な治療が適応となる疾患、例えば子宮・膣癌など腔内照射の必要な腫瘍や、粒子線治療が適応可能な疾患の場合、ご希望により他施設へご紹介しております。近隣の医療施設の先生、あるいは当院を受診される方におかれましては、放射線療法をご検討の場合は、是非一度お問い合わせください。
放射線治療科トピックス
前立腺がんに対する金マーカー留置術・ハイドロゲルスペーサーについて
前立腺がんに対する放射線治療は、手術療法と同等の効果をもつ標準的な治療方法です。
当院では、放射線治療前の事前準備として、2021年2月より金マーカーおよびハイドロゲルスペーサーの留置術を開始しました。
これらの処置を行うことで、放射線治療によって晩期に発生する可能性がある副作用(放射性直腸炎や血便など)のリスクを低減することができます。
画像出典元:ボストン・サイエンティフィックジャパン株式会社
金マーカー・ハイドロゲルスペーサー挿入のイメージ図(左図:挿入前 右図:挿入後)
金マーカー:前立腺位置情報を正確に把握することを目的としています。
ハイドロゲルスペーサー:前立腺―直腸間に隙間をつくり、直腸の放射線量を低減させることを目的としています。
治療用照射装置出力線量の第三者機関による測定実施について
放射線治療の領域における照射線量、治療用照射装置の出力線量が全国的に同一基準ということががん治療及び臨床研究の基本です。
放射線治療の品質管理および品質保証を行う上で、治療に関わる装置の保守管理が非常に重要となります。
そのため、放射線治療装置を所有する施設では、自施設の線量精度を担保する責任があります。
当院では2021年3月に照射装置の出力確認を第三者機関が行う第三者評価プログラムを実施し、適切な出力線量であるという評価を受けました。
以後、3年に1回の頻度で第三者出力線量評価機関による出力線量測定を実施しています。
実施証明書は当院放射線治療科に掲示しております。
乳房温存療法術後症例に対する寡分割照射の開始について
乳房温存療法手術後の全乳房照射は、乳がんの再発を減らし生存率を改善するとされ、術後に標準的におこなうことが推奨されています。
その方法として、2Gy/回、照射回数25回、計50Gyの照射を行うことが一般的ですが、治療に1ヶ月以上かかるため、通院だけでも大きな負担がかかります。
そこで当院では2024年4月より、2.66Gy/回、照射回数16回、計42.56Gyの寡分割照射を開始しました。通常のスケジュールと比較し、通院に要する時間および医療費を節約することができます。
ASTRO(米国放射線腫瘍学会)ガイドラインや本邦の乳癌診療ガイドラインでも寡分割照射が推奨されており、治療効果や副作用は通常の治療とほぼ同等であると報告されています。
50Gy/25回/5週間と42.56Gy/16回/3週間の比較をしたところ、両者の10年局所再発率,全生存率,整容性に差を認めなかった。
※がん保険の中には「放射線治療の保険適応は総線量が50Gy以上」という規定がある場合があります。事前に契約内容をご確認ください。ご希望であれば従来のスケジュール(2Gy/回、照射回数25回、計50Gy)での治療も可能です。
放射線治療科専用CT装置の導入について
放射線治療は、治療を行うことが決まった後、(1)治療計画CT(2)治療計画
(3)線量検証(4)治療開始といった手順で行うことが一般的です。
治療計画CTでは、毎回の放射線治療と同じ体勢がとりやすく、かつ治療中の苦痛も少ない体勢を考慮しながら撮影を行います。
当院では2023年7月に放射線治療科専用のCT装置を導入しました。これにより、放射線治療開始までのスループットが向上し、待ち時間少なく、より多くの患者さんに放射線治療を提供できることが期待されます。
スタッフ
放射線画像診断科
金曜日 | 荒川 浩明 | 非常勤(獨協医科大学病院) | |
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常勤 | 古賀 誠 | 常勤 | 日本医学放射線学会 放射線診断専門医 日本核医学会 核医学専門医 日本核医学会 PET 核医学認定医 日本インターベンショナルラジオロギー IVR専門医 |
放射線治療科
月曜日 | 宮坂 勇平 | 非常勤(群馬大学医学部附属病院、助教) | 放射線治療専門医 |
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火曜日 | 入江 大介 | 非常勤(群馬大学医学部附属病院、助教) | 放射線治療専門医 |
水曜日 | 安藤 謙 | 非常勤(群馬大学医学部附属病院、講師) | 放射線治療専門医 日本医学放射線学会研修指導者 がん治療認定医 臨床研修指導医 |
金曜日 | 大高 建 | 非常勤(群馬大学医学部付属病院、助教) | 放射線科専門医 |
常勤医師(1名)
診療放射線技師(18名)
医学物理士(1名)
放射線治療品質管理士(1名)
事務員(1名)
資格取得者
マンモグラフィ検診精度管理委員会 撮影認定技師 | 2名 |
マンモグラフィ検診精度管理委員会 精度管理認定技師 | 1名 |
CT撮影認定技師(埼玉県放射線技師会認定) | 5名 |
胃部撮影認定技師(埼玉県放射線技師会認定) | 3名 |
特定非営利活動法人(NPO) X線CT認定技師 | 3名 |
日本消化器がん検診学会 胃がん検診専門技師 | 3名 |
NPO 日本消化器がん検診精度管理評価機構 胃がんX線検診技術部門 B資格 | 5名 |
NPO 日本消化器がん検診精度管理評価機構 胃がんX線検診読影部門 B資格 | 4名 |
TCLS(二次救急処置法)トレーニング講習会 認定者 | 7名 |
医療画像情報認定技師 | 2名 |
肺がんCT検診認定技師 | 5名 |
救急撮影認定技師 | 2名 |
胸部認定技師(埼玉放射線技師会認定) | 7名 |
第1種放射線取扱主任者 | 2名 |
各医療機関の先生へ
地域医療機関からの各種検査依頼を承っています。ご不明な点などがありましたらお気軽にご連絡ください。
担当医
古賀 誠こが まこと
放射線画像診断科 常勤
資格・専門医
日本医学放射線学会 放射線診断専門医
日本核医学会 核医学専門医
日本核医学会 PET 核医学認定医
日本インターベンショナルラジオロギー IVR専門医
荒川 浩明あらかわ ひろあき
放射線画像診断科 非常勤 (金曜日)
獨協医科大学病院
宮坂 勇平みやさか ゆうへい
放射線治療科 非常勤 (月曜日)
群馬大学医学部附属病院 助教
資格・専門医
放射線治療専門医
入江 大介いりえ だいすけ
放射線治療科 非常勤 (火曜日)
群馬大学医学部附属病院 助教
資格・専門医
放射線治療専門医
安藤 謙あんどう けん
放射線治療科 非常勤 (水曜日)
群馬大学医学部附属病院 講師
資格・専門医
放射線治療専門医
日本医学放射線学会研修指導者
がん治療認定医
臨床研修指導医
大高 建おおたか たける
放射線治療科 非常勤 (金曜日)
群馬大学医学部付属病院 助教
資格・専門医
放射線科専門医