薬局長のご挨拶
私たち薬剤科スタッフは、有効性と安全性を踏まえた医薬品選択にチーム医療の一員として、患者さまの治療に貢献出来るように常に心がけています。さらには現在の医療情勢に応えるべく医薬品情報提供のみならず安全管理、感染制御、栄養管理などの業務に努めております。また病棟における薬剤管理指導の実施や、がん薬物療法においても患者さまが適正な治療を受けられる事を目的とし、薬剤の選択から薬を使用した後のフォローアップまでさまざまな場面で患者さまの役に立てるよう努力しています。
薬剤科の理念
患者さまの安全と安心を第一に考え、医療の質の向上に貢献する。
薬剤科の目標
- 適正な医薬品管理と薬物療法の推進により、患者さまの生活を豊かにする。
- 良好な人間関係を保ち、楽しく業務を遂行する。
- お互いを刺激し合い、成長が感じられる関係を構築する。
令和7年度目標
- 病棟常駐業務の推進
- 医薬品の安定供給
- 抗菌薬の適正使用の推進とTDMによる治療設計の提案
- 安全ながん薬物療法の実践と有害事象への適切な介入
- 患者個々に合わせた栄養管理の提案
- 専門薬剤師・認定薬剤師の育成
- 薬学教育の推進
薬剤科の行動方針
「病院の理念」・「薬剤科の理念」の推進と実践。
業務内容
調剤業務
調剤は薬剤師にとって最も基本的業務ですが、従来の経験に基づく技術的な調剤から相互作用や副作用を回避する医薬品の適正使用を担う質の高い調剤へと変革しつつあります。当院では医薬分業を実施しており、毎日多くの院外処方を発行しています。保険薬局の薬剤師さんと疑義紹介やトレーシングレポートのやり取りをしています。また、病棟への注射調剤は過誤防止のため注射薬自動払出システムを用いて患者様ごとにセットしています。
また、専用の部屋にて高カロリー輸液(TPN)の無菌調製や抗がん薬調製を行っています。私たちは抗がん薬による職業性曝露にも注意し、一部の薬剤につきましては、閉鎖式薬物移送システム(CSTD)にて調製し、投与に関しては完全一体型輸液セット アンティリーク®を全例に用いています。
2025年1月の業務実績
入院処方箋枚数 :5,069枚
入院注射箋枚数 :9,226枚
入院注射本数 :26,497本
外来処方箋枚数(院内) :1,434枚
院外処方率 :88.2%
服薬指導件数 :1,338件
抗がん薬調製件数 :116件
服薬指導・病棟常駐
薬剤管理指導業務は患者様に自立して薬物治療を受けていただく為には必要不可欠なものです。単に処方されているお薬について説明するだけでなく、患者様と直接接することにより患者様固有の問題点を取り上げ、解決していくことが必要です。現在、内服や外用剤の説明のほか、インスリンの自己注射や簡易血糖測定器の手技指導、また近年増加しております自己免疫疾患や片頭痛に対する自己注射の手技指導につきましても積極的に取り組んでおります。
薬品管理業務
医薬品管理業務とは、卸業者から薬品が納入され患者様に投与されるまでの「品質」を管理することです。その中でも、在庫管理は重要な業務となっており、患者様に薬品を安定して供給ができるよう必要量をチェックし、卸業者へ発注・購入しています。
治験業務
治験とは厚生労働省から「薬」として承認を受けるために行う臨床試験をいいます。治験はGCPとよばれる基準に従って、プロトコールを遵守して行う必要があり、治験を円滑に遂行するため治験コーディネーター(Clinical Research Coordinator)として業務をしています。医師、看護師、検査技師等との連携や、被験者来院時の対応、治験依頼者(臨床開発モニター)の対応、データの管理など幅広い仕事内容になっています。被験者の安全が最も優先され、安心して治験に参加していただけるよう取り組んでいます。
DI(医薬品情報)業務
調剤・製剤・薬品管理・病棟業務などにおいて、薬剤が適正に使用されるためには医薬品の情報を正確に提供することが重要です。当院では、医薬品情報を随時発信し医療スタッフ・患者様へ情報を提供し、副作用情報など多くの情報を収集しています。
離島・僻地応援
医療ニーズがあるにもかかわらず、離島・僻地においては医療スタッフが不足しているのが現状です。徳洲会グループでは、そのような病院・施設への医師や看護師、薬剤師等の派遣を行っております。応援期間は2カ月から最長6カ月となります。また、本人の希望がない限り、転勤はありません。かつて、応援に行くと学会や研修会に参加できなくなり、専門・認定薬剤師の更新がし難いといったデメリットがありましたが、現在は多くの学会や研修会がwebでの参加が可能となっておりますので、離島にいても単位取得することはできます。
近年の実績:出雲徳洲会病院(島根県斐川町)、瀬戸内徳洲会病院(鹿児島県大島郡瀬戸内町)、沖永良部徳洲会病院(鹿児島県大島郡知名町)、山北徳新会病院(新潟県村上市)、宮古島徳洲会病院(沖縄県宮古島市)
羽生総合病院 入職後のタイムスケジュール
当院では1年生による服薬指導や病棟常駐業務を早期より開始します。このような業務に対して不安も多いかと思いますので、それぞれの業務には適度な見習い期間を設け、下記のタイムスケジュールを元に進めていきます。また、ステップアップする際には上司との面談を設け、お互いに納得し合いながら新たな業務が習得できる環境を整えています。
(例)4月入職の場合
4~5月 | 薬局:調剤・点滴準備、各病棟への点滴台車の搬送、薬品請求、持参薬鑑別 病棟:服薬指導、内服配薬カートのセット |
6~8月 | 徳洲会グループ新人研修への参加 疑義紹介の電話対応 無菌調製の開始(1週間程度の見習い期間あり) 日本病院薬剤師会関東ブロック学術大会への参加 |
9~12月 | 病棟常駐業務の見習い開始 *1~2ヶ月毎に病棟をローテーションしていきます |
1月以降 | 病棟常駐業務の病棟固定 当直(夜勤)業務の開始 *先輩薬剤師と見習い当直を2回実施し、その後は一人当直となります 月3回程度を予定 |
2年目以降 | 抗がん薬調製の開始(1ヶ月程度の見習い期間あり) 入退院サポートセンター業務の開始 各種委員会への参加 離島・僻地応援(原則、2ヶ月)の候補対象となる |
3~5年目以降 | 各学会における専門・認定薬剤師の取得へむけて自己研鑽 |
(4月入職)新人薬剤師の1日業務スケジュールのイメージ図
専門・認定薬剤師の取得
徳洲会グループでは、各種認定資格を有した薬剤師が多数在籍しております。近年ではzoomを用いた勉強会を業務終了後に開催し、資格取得のための講座を多数開催しております。また、日本全国の徳洲会グループの薬剤師が集結し、日病薬病院薬学認定薬剤師制度の研修単位が取得できる研究会も開催しています。
当院における認定資格者の在籍一覧(2025年4月現在)
日本病院薬剤師会 がん薬物療法認定薬剤師 | 1名 |
日本臨床腫瘍薬学会 外来がん治療専門薬剤師 | 1名 |
日本臨床腫瘍薬学会 外来がん治療認定薬剤師 | 1名 |
日本化学療法学会 抗菌化学療法認定薬剤師 | 1名 |
日本栄養治療学会 NST専門療法士 | 2名 |
スポーツファーマシスト | 1名 |
私が資格取得をした理由!(日本病院薬剤師会 がん薬物療法認定薬剤師)
今でこそ、薬剤師が抗がん薬調製をすることに何の疑問を抱きませんが、私が資格を取得した2008年は医師や看護師が抗がん薬を調製していました。また、がん薬物療法のレジメンが管理されていなかったため、適切な制吐薬が投与されておらず、悪心・嘔吐に苦しんだ患者さんが多くいたことを記憶しています。そのような中、患者さんが安心してがん薬物療法が受けられる環境を作りたいと思い、資格取得のために動きました。
その後がん薬物療法認定薬剤師の資格を取得し、5年ごとの更新を2度受けました。今では医師や看護師と共に患者の希望にそった治療計画に行い、ベッドサイドで聴取した有害事象から適切な支持療法を提案していくことが業務となりました。最近、4年目のスタッフが外来がん治療認定薬剤師を取得しましたので、現在は薬剤師外来の開設を準備しております。
病院見学のお問合せ
当院ではいつでも病院見学を承りますので、下記のメールアドレスまでご連絡ください。原則、日曜日と祝祭日を除いた日程で病院見学を承りますが、病院実習の期間中(月~金曜日)につきましてはお断りすることがあることをご了承ください。
内容:病院見学(薬剤科、外来化学療法センター、診察室、病棟など1時間ほどかけて見学)
準備していただきたいもの:身分が証明できるもの(学生証や免許証など顔写真が入っているもの)
連絡先:r.kawata@fureaihosp.or.jp 羽生総合病院 薬剤科 川田まで
院外処方のお問合せ
- 処方内容のお問合わせは、原則薬剤科が窓口になります。
- 保険に関するお問合わせは、医事課が窓口になります。
お問合わせ時間 | 8:30~19:30(全日) |
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電話番号 | 処方内容 → 薬剤科直通:048-562-3008 |
保険(医事課)、その他 → 病院代表:048-562-3000 | |
FAX番号 | 048-563-2170 |
*この様式は一例です。汎用されている他の様式をご使用いただいても結構です。
- 後発医薬品から先発医薬品への変更は、患者さんの不利益がないよう同意を得た上で変更をお願いします。
- 自己注射を行っている患者さんは、消毒綿を病院側でお渡しすることにしております。もし必要な方がいた場合は病院へご連絡お願いします。
疑義照会について
以下の内容変更については、調剤薬局さんで確認が取れれば疑義照会を必要といたしません。(但し、疑義があれば必要に応じ疑義照会をお願いします)変更内容につきましては、事後報告で構いません。
- 患者希望による適正な1包化
- 外用剤の使用部位
- 漢方薬(漢方内科を除く)の他メーカーへの変更
- 残薬調整による、処方日数の短縮、削除
- 注射針処方漏れへの追加(使用歴があり、メーカー・規格が明確な時)
- 用法が決められている次の医薬品(糖尿病治療薬、胃腸薬、リン吸着剤、球形活性炭)